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契約書、その本当の意味

 契約書。ビジネスの世界では誰しも目にするものです。
 でも、その契約書の中身や意味をきちんと理解して取り交わしているかというと、なかなか自信を持って「はい!」と言える方は多くはないのではないでしょうか。
 今回は、ビジネスとは切っても切り離せない「契約書」がテーマです。

 時々ある契約書作成のご依頼で、「ウチとあの取引先は長い付き合いで仲良しだから、トラブルになったときにどうこうとかはいらないよ!サラッと作ってくれればいいよ!」というお話を伺うことがあります。しかし、本当にトラブルが発生する可能性がゼロであるならば、契約書を交わす必要はないはずですよね(法律上契約書の作成を義務付けられている場合を除く。)。

 では、契約書を交わすのはそもそもなぜなのでしょうか。
 それは、契約当事者間で紛争が発生したときにその紛争を解決するためのルールや、取引から生じるリスクをどちらの当事者がどのように分担するのかを予め決めておくためです。
 例えば、部品メーカーが機械メーカーに部品を供給するような継続的商品売買契約であれば、
①部品メーカーが納入しようとした商品に数量不足や不良品が混入していたときの対応方法(契約不適合責任)
②不慮の事故等で納入途中の商品が損傷してしまったときにどちらがその不利益を負担するか(危険負担)
③相手方当事者の契約違反によって損害が発生してしまった場合にどの範囲で損害賠償を請求できるか(例えば弁護士費用も請求できるのか、など)
といった内容です。
 他にも、ほとんどの契約書で、相互に相手方の秘密情報を保持する義務に関する規定、契約を解除できる場面を列挙した規定、相手方が反社会的勢力と関係を持っていた場合に対応する規定、裁判に発展した場合に訴え出るべき裁判所を指定する規定などが設けられています。
 このようなルールを予め設けておくことで、トラブルが発生したときでも話合い等により円滑に解決できることが期待されます。

 契約書を交わす意味はそれだけにとどまりません。
 契約書を交わしていない、或いは契約書を交わしているものの実際に発生したトラブルに関するルールが契約書には書かれていないという場合には、多くの場合で「民法」や「商法」といった法律によるルールが適用され、これに基づいてどちらにどれだけの責任があるかなどを判断することになります。しかし、この民法や商法によるルールの多くは、当事者間の合意=契約書によって法律とは異なるルールに変更することができます。これは、自社にとって有利な契約内容に持ち込むことで、取引から生じる自社のリスクを低減することができるということを意味します。自社のリスクを低減したい場合は、自社オリジナルの契約書雛形を持っておくことをお勧めします。
 また、取引相手との力関係で、どうしても不利な契約条件を飲まざるを得ない場面も有り得ますが、そのような場合も含め、契約書で定められた自社のリスクを理解し、トラブルや損失が発生しないよう備えることが可能となります。こうして、契約書は紛争予防にも役立つものとなります。

 とはいえ、書店にあるHowTo本やインターネット上で出回っている契約書の雛形をコピー&ペーストすれば紛争予防にもつながる契約書ができるかというと、決してそのようなことはありません。というのも、ビジネス上の取引の多くは、どこかしら殊性・個別性があるためです。弁護士が契約書の作成をご依頼頂いたときは、まず依頼者からのヒアリング等により、想定されるビジネスモデルや、その取引の具体的なオペレーション方法、目的物やサービスとお金の流れを十分に理解し、その取引から想定される依頼者のリスクを洗い出し、そのリスクをどうすれば回避・低減できるかを考え、これを踏まえて条文の形にします。このリスクの洗い出しは、取引からどのようなトラブルが生じ、損害が発生するとすればどの程度の金額になり得るかといった観点で行いますので、契約書を作成する者の法的トラブル処理(裁判を含む)の経験値が大きく影響します。
 こうして出来上がった契約書のドラフトを依頼者に提示しニーズと合致しているか、契約書に記載したオペレーションが実態に即しているかなどを確認していただいた上で、修正を繰り返して、完成に至ります。
 このように、契約書は基本的にオーダーメイドです。単発の商品売買契約などあまり経費をかけることができないものもありますが、多数の取引相手と交わす基本契約書などは、オーダーメイドで作る意義は大きいと言えます。

 いかがでしたでしょうか。自社に合わせた契約書を持っておくことは、リスクの低減、トラブルの回避等の点でビジネスを支えることにつながります。
 弊所では、企業のお客様から契約書作成の御依頼や、顧問企業様からの契約書のリーガルチェックの御依頼を多数頂戴しており、これらの業務を通じて、日々契約書作成のスキル向上に努めております。
 自社オリジナルの契約書の作成をお考えの方や、取引先から提示された契約書について疑問をお持ちの方は、是非お気軽にご相談ください。

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