今回は「ダークパターン」という用語を取り上げたいと思います。
「ダークパターン」は、スマホアプリや通販サイトの操作画面等における、ユーザーを騙したり判断を誤らせるようなデザインに対する名称です。
消費者庁の資料では、具体的に次のようなものを指すとされています。
OECDの報告書では、多くのダークパターンは、消費者の認知バイアス、行動バイアス、ヒューリスティックス(経験則等)を悪用することにより消費者に影響を与え、一般的に以下に分類されるとされています。 【出典:消費者庁ウェブサイトより】 1【強制】 特定の機能にアクセスするために、消費者にユーザー登録や個人情報の開示を強要するなどの強制的な行為。 2【インターフェース干渉】 デフォルトで事業者に有利な選択肢を事前に選択する、視覚的に目立たせるなど。 3【執拗な繰り返し(ナギング)】 通知や位置情報の取得など、事業者に都合の良い設定に変えるように何度も要求する。 4【妨害】 解約や、プライバシーに配慮した設定に戻すことなどへの妨害行為。 5【こっそり(スニーキング)】 取引の最終段階で金額を追加する、試用期間後に自動的に定期購入に移行するなど。 6【社会的証明】 虚偽の推奨表現、過去の購買実績を最近の実績のように通知するなど。 7【緊急性】 カウントダウンタイマー、在庫僅少の表示など。 |
詳細については、消費者庁が公開している資料(OECD ダーク・コマーシャル・パターン)に掲載されておりますが、例えば次のような具体例が挙げられます。
・自動更新型の契約(定期購入)において、途中で契約を打ち切るためには消費者から事業者に連絡をしないといけないが、それがメールでは不可とされており電話をかける必要があるとされ、実際にかけてみるとほとんどつながらないというケース(上記4)
・「あと30分間だけお得!」という文字を強調し、何度も表示させる(上記7)
ダークパターンという用語自体は耳慣れずとも、上記の例のほかに、「商品を閲覧したいだけなのに会員登録を求められた」、「広告の表示画面に×印がついているものの、小さすぎて押しにくく、間違えて広告を押してしまった」といった例もあり、そのような例であれば、覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
現時点で、日本国内ではダークパターンそのものに対する規制はありませんが、消費者庁がOECDレポートを公開する等して問題意識を持っていることから、今後、新たな広告訴求や決済手法を考えていく際には、近い将来法的な規制が及ぶ可能性も踏まえ、事業者としては、ダークパターンに分類されるような手法を用いてサイト等を構築していないかに留意する必要があります。
ダークパターンは、事業者として今後どのように取り組んでいく必要があるかを検討する事項というだけでなく、個人が被害に遭わないようにするにはどうしたらよいか、という事項でもあります。そのためには、まずはダークパーン、という手法があることを知っていただくことが初めの一歩といえることから、今回のブログで紹介しました。