近年、中小企業が直面する問題の一つとして、人手不足が指摘されています。
帝国データバンクが本年5月2日付けで発表した「人手不足に対する企業の動向調査」によれば、本年4月時点における全業種の従業員過不足状況について正社員が不足と感じている企業は、51.4%にのぼるとのことです。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p230502.html
社会問題や社会不安が生じると、それに付け込んだ悪質商法が発生するのは世の常ともいうべきことかもしれませんが、人手不足に付け込んだ悪質商法被害としては、無料求人広告トラブルが問題となっています。
これは、無料でインターネット上の求人サイトに掲載できるとの文句で事業者を勧誘して契約させ、一定期間を経過した後に、有料掲載へと契約が自動更新されたとして、高額な広告料金を請求するというものです。
無料求人広告を謳う全てが悪質業者であったり、トラブル化したりするというわけではないものの、被害事例の中には、契約解約の連絡は電話に限るものとしながら無料期間経過前に解約の電話連絡を入れようとしても電話に出ないまま、あるいは所定の書式による解約に限るとしながら書式をよこさないまま、有料掲載に移行したとして高額な料金を請求してくるケースがみられます。
一般の消費者の場合は消費者契約法等の法律によって保護されますが、事業者の場合、「消費者」には当たらないことから、一般消費者であれば保護の対象となる法律が適用されないため、このような被害が生じてしまいます。
また、消費者と事業者との契約トラブルであれば、各地の消費生活センターで相談窓口が設けられていますが、下記のNHKのウェブサイト記事で紹介されているとおり、無料求人広告トラブルは事業者と事業者との契約トラブルであるため、消費生活センターとしても間に入れないという現状があります。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/jiken_kisha/kishanote/kishanote45/
このような無料求人広告トラブルでは、仮に契約後有料期間に移行してしまった場合でも、代理人弁護士の名で解約を通知する内容証明を送付することによって請求が止むケースもありますが、未然にトラブルを防ぐためには、やはり専門家の視点から契約内容のチェックを受けて、法的問題点についてアドバイスを受けておくことが重要です。
皆様が弁護士に依頼する場合として思い浮かべるのは、実際にトラブルが生じた後の出来事であろうかと思われますが、トラブルの芽がないかを事前にチェックしておきたいという場合にも、弁護士への相談・依頼をお勧めします。
※ 保険代理店の皆様向けには、ちょっと聞ける弁護士がいたら、というニーズにも合わせたプランの顧問契約(月額\5,000~)も御案内しております。お気軽にお問い合わせください。
弁護士 緒方哲也
(弁護士法人ニューポート法律事務所 日向オフィス)
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