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連載企画:「離婚」について知っておきたいこと(第4回)

 前回は、財産分与の背景にある考え方等をお伝えしました。
 今回は、具体的ケースの運用や考え方をみていくことにしましょう。

財産分与の決め方

 前回記事では、財産分与には清算的機能や扶養的機能があるとお伝えしましたが、これらは夫婦間の問題であることから、財産分与の額や方法をどうするかは、まずは当事者である夫婦で協議して決めることが原則です。

 しかし、夫婦間で協議できない、あるいは協議がまとまらないこともあります。
 そのような場合には、申立てにより、裁判所での調停や審判によって解決を図ることになります。
 これが財産分与の調停・審判です。

 法律上は、いきなり審判を申し立てて裁判所に判断してもらう方法、あるいはまずは調停を申し立てて話し合いを試みる方法のいずれの方法によることもできます。
 ただし、裁判所側で、そのまま審判するか、まず調停に付して解決を図るかを決めることになりますが、調停の申し立てをせずに審判を申し立てた場合、通常は調停に付すこととなります。

 手数料は調停、審判いずれも1,200円です。
 財産分与の調停を申し立て、もし調停が不成立(=話し合いで決まらなかった)の場合には、自動的に審判に移行します。

 離婚訴訟の場合は、「附帯処分の申立て」という手続に基づき、裁判所が財産分与に関する裁判(=判決)をします。

 「附帯処分」とは、人事訴訟手続に附帯して行う処分、という意味です。
 離婚にまつわる法的事項としては、子供の監護、財産分与、年金分割に関する処分がありますが、これらは「家事審判事項」と呼ばれ、本来は訴訟手続とは別の裁判手続で審理されるものであり、離婚訴訟(人事訴訟)手続では判断できないということになります。

 しかし、これらの事項は、離婚に付随する重要な事項であり、離婚という同じ問題について、わざわざ別の手続によらずに済むようにしたり、紛争の一回的解決を図る必要があります。

 そこで、家庭裁判所は、子の監護者指定や財産分与について当事者の申立てがあったときは、これらに関する処分についても判断しなければなりません。
 こうした処分を「附帯処分」といいます。

財産分与での検討事項

 財産分与においては、次のような点が検討事項となります。

①対象財産の有無
 財産分与は、夫婦が協力して形成した財産を清算する制度ですので、まず、このような財産があるかが検討事項となります。

②対象財産の評価額
 2分の1ルールは、対象財産を等しく分ける考え方ですが、例えば対象財産に自宅不動産がある場合は、物理的に2分の1で分けるというわけにはいきません。
 そこで、自宅不動産について、例えば1000万円と評価し、取得を希望する夫婦の一方のものとし、500万円を夫婦の他方に支払う(代償金、と呼ばれます)ことにして、他の対象財産と併せて清算する、例えば預金が夫婦合わせて500万円あれば夫婦の他方が取得する、という解決を採ることがあります。

③対象財産の形成への寄与度
 寄与については、原則として夫婦が等しいと扱われます。
 この例外としては、例えば夫婦の一方が(成功した)芸術家、発明家であったり、金融取引ディーラー等の特別な才能や能力を有していることで収入を得ているなどの特段の事情がある場合に限られます。
 (ただし、個人の感想でいえば、特別な才能なり能力なりというのも、それが発揮されるのは夫婦の他方の協力あってのものという側面は否めないと考えられます。)

対象財産の確定時点

 財産分与は、婚姻関係に基づく共同生活を解消するに際して、協力して形成した財産を清算する制度ですので、対象財産となるのは、共同生活が解消された時点で存在する財産である、ということになります。
 もっとも、離婚前に別居している場合は、その時点以降は、夫婦が協力して財産を形成するという状況にはないこととなります。

 したがって、対象財産の確定時点は、夫婦の別居時点、ということとなり、この時点において、夫と妻名義の財産として、どのようなものがあったかを確定する必要があります。

財産分与の資料

 財産分与の具体的内容が決定されるにあたっての判断資料は、対象となる財産に応じて変わります。
 預金であれば通帳・取引履歴明細、不動産であれば登記簿(全部事項証明)のほか、住宅ローン付であれば償還予定表等です。

 調停では、基本的には両当事者が任意に開示しあうのですが、感情が絡む要素が強い類型の事件ですので、当事者が開示しない場合も生じえます。
 そのような場合には、弁護士会を通じた照会や、家庭裁判所での調査嘱託といった手続で調査することとなります。

 ここで、弁護士会を通じた照会についてご案内します。

 この照会は、弁護士法23条の2に基づくもので、
 ①弁護士が、受任している事件について、所属弁護士会に対し、
  公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出て、
 ②この申し出を受けた弁護士会が、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求める
 という手続です。
 「23条照会」、「弁護士会照会」と呼ばれます。

 ここにいう「公務所」とは、例えば官公庁、都道府県庁、市町村役場等を指し、「公私の団体」とは、地方公共団体、独立行政法人や、株式会社、NPO法人等を指します。
 「受任している事件」という要件も重要で、例えば、弁護士へ依頼することなく自分で離婚調停を進めていたものの、相手方が預金口座を開示しないとの理由で、預金調査のみ弁護士へ23条照会による調査を依頼することはできないこととなります。

 財産分与については、離婚をめぐる重要事項ですので、次回も引き続き、財産分与についてお話していきたいと思います。

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