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【後編】AI(ChatGPT等)を会社で利用するときの法的注意点

 前編では、情報漏えい、営業秘密、AI事業者ガイドラインについて紹介しました。
 今回は、「AIが作った成果物は自由に使えるのか」という点を中心に見ていきます。

 1 AIが作った文章に著作権はある?

 令和6年に文化庁が公表した「AIと著作権に関する考え方について」では、AI生成物については、「人の創作的寄与があるかどうか」が重要になると整理されています。
 例えば、「500文字で会社紹介を書いて」程度では、利用者の創作性が認められない可能性があります。一方、構成や内容を細かく指示し、何度も修正を重ね、最終的に自ら編集して完成させた文章については、利用者に著作権が認められる余地があります。
もっとも、現時点では裁判例はまだ十分に蓄積されていません。
 そのため、「AIが作ったから著作権がある」あるいは「AIだから自由に使える」と単純に考えることはできません。今後の裁判例や実務の蓄積を注視する必要があります。

 2 AIは間違えることがある

 生成AIは非常に自然な文章を作成できます。しかし、その内容が常に正しいとは限りません。
 実際には、存在しない法律や判例、存在しない統計データを、もっともらしく回答することがあります。この現象は「ハルシネーション(Hallucination)」と呼ばれています。
 例えば、存在しない法律条文、廃止された制度、実在しない裁判例、存在しない会社、誤った数値等を、あたかも事実であるかのように回答することがあります。そのため、「AIがそう答えたから」という理由だけで契約書や社外文書を作成したり、ホームページへ掲載したりすることは危険です。
 特に法務、会計、税務、医療など、専門性の高い分野では、人による確認が不可欠です。生成AIは、あくまでも「業務を支援するツール」であり、最終的な判断や責任は利用者にあることを忘れてはいけません。 

3 社内ルールを整備することが重要

 生成AIの利用に関するトラブルの多くは、「従業員が自由に利用していた」という状況で発生しています。そのため、企業としては、利用を禁止するかどうかではなく、「どのようなルールで利用するのか」を明確にしておくことが重要です。
 例えば、社内ルールでは、次のような事項を定めることが考えられます。
 ・個人情報や営業秘密を入力しないこと
 ・顧客情報は匿名化して利用すること
 ・AIが作成した成果物は必ず人が確認すること
 ・法務・経理・人事など重要な文書は複数人でチェックすること
 ・AIが作成した画像や文章を公開する際は著作権等を確認すること
 ・利用を認める生成AIサービスを限定すること
 ルールを作成するだけでなく、従業員への教育も重要です。「AIは便利だから自由に使ってよい」という認識ではなく、「会社の情報を預かっている」という意識を持って利用することが求められます。

 4 就業規則や社内規程の見直しも検討を

 生成AIの利用が広がる中、就業規則や情報セキュリティ規程の内容を見直す企業も増えています。
 例えば、AI利用に関する基本方針、情報管理のルール、機密情報の取扱い、社外サービス利用時の手続、AI利用による成果物の管理方法等を社内規程に盛り込むことで、従業員に対して明確なルールを示すことができます。
 また、生成AIは日々進化しています。一度規程を作れば終わりではなく、新しいサービスや法令、ガイドラインの内容を踏まえながら定期的に見直していくことも重要です。

 5 「AIに任せる」のではなく、「AIを使いこなす」

 生成AIは、今後の企業経営に欠かせないツールになるでしょう。
 しかし、AIは万能ではありません。AIは大量の情報を短時間で整理し、文章や画像を作成することは得意です。一方で、会社の事情、取引先との関係、法的リスク、経営判断、倫理的な問題まで考慮して最適な結論を導いてくれるわけではありません。
 企業として重要なのは、「AIに仕事を任せる」のではなく、「AIを適切に活用し、人が最終判断を行う」という姿勢です。
 生成AIは人の代わりになる存在ではなく、人の能力を補い、生産性を高めるためのツールとして活用することが望ましいでしょう。 

6 まとめ

 生成AIは、企業の業務効率化や生産性向上に大きく貢献する可能性を持っています。
 一方で、個人情報や営業秘密の漏えい、著作権侵害、誤情報の利用など、さまざまな法的リスクも伴います。だからこそ、AIに入力する情報を適切に管理すること、AIの回答を鵜呑みにしないこと、社内ルールや利用ガイドラインを整備すること、必要に応じて就業規則や情報管理規程を見直すことが重要になります。
 生成AIは、正しく利用すれば企業にとって非常に心強いパートナーとなります。
 技術の進歩に合わせて、企業のルールや体制もアップデートしていくことが、これからの時代には欠かせないでしょう。

 生成AIは、今後さらに企業活動のさまざまな場面で利用されることが予想されます。しかし、導入にあたっては、情報管理や知的財産、労務管理など、複数の法的観点から検討すべき事項があります。
 ニューポート法律事務所では、企業における生成AI利用ガイドラインの作成支援や、就業規則・情報セキュリティ規程の整備、生成AIを活用した業務フローの法的チェックなどを行っています。
 「生成AIを導入したいが、どのようなルールを作ればよいかわからない」「社内で安全に活用できる体制を整えたい」とお考えの企業様は、お気軽にご相談ください。

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