先日連載にてご紹介しておりましたフリーランス保護法に関して、規制の導入については御存じの方も多いかと思いますが、労災関係の変更については、あまり把握されていない方もいらっしゃるかもしれません。
比較的大きな枠組み変更があったのですが、確かにフリーランス保護法によって規制が導入されたことのインパクトが強く、労災関係は紹介の度合いもそれほど高くなかったため、認知度が上がっていないことと思われます。
そこで今回は、フリーランス保護法とセットで行われた労災保険の加入可否の制度変更についてご説明いたします。
既に皆さまは、「労働契約」と「業務委託契約」の違いについては理解されているところと思われます。
様々な違いがありますが、労働法の適用のある「労働契約」と、適用がない「業務委託契約」では、後者の方が働く側に対する保護が薄いといわざるを得ませんでした。
そこで業務委託契約で業務に従事する者をフリーランスとして保護しようというのがフリーランス保護法でした。
「労働契約ではない」という性質自体は否定できないことから、どうしてもフリーランスに対する保護が難しいと考えられていた事項、例えば「妊娠、出産、育児又は介護に対する配慮」(フリーランス保護法13条)といったものも導入され、一気にフリーランス保護の流れが作られたといっていいでしょう。
その流れの一つとして、フリーランスも「労災保険」の「特別加入」対象として認められることになりました。
「労災保険」というのは、割とイメージが湧きやすい概念ではないかと思われますが、要するに労働契約に基づく業務中に、事故等に遭った際に支給される保険給付や、その保険給付を支払ってもらう前提となる保険料といったものを指す概念です。
そしてこの「労災保険」は、やはり「労働契約」であることが大前提となっていましたが、もともと「特別加入」という名称で、労働者以外の者でも(特別に)加入が認められていたものの、「個人タクシー業者」「建設業の一人親方」「柔道整復師」といったように、業種などで指定された者のみが加入を許されているという状況でした(法務界隈ではこういった制度設計を「限定列挙」といいます。)。
これが、フリーランス保護法の制定・施行に併せて、労働者災害補償保険法施行規則や労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則が改正され、上記の限定列挙されている業種以外のフリーランス(厳密に言えば「特定受託事業者」)も広い範囲で「特別加入」が認められることとなりました。
これまで、フリーランスの方の中には、労災保険の適用が受けられないことが悩みの一つだった方もいらっしゃるかもしれませんが、11月からこのような変更が行われております。
そのため、これからはこの特別加入という制度の活用を検討されても良いかもしれません。
弊所では、労働分野の御相談にも対応させていただいておりますので、ご興味のおられる方いらっしゃいましたら、ぜひ一度、お気軽にご相談くださいませ。