ビッグモーター事件に端を発した損害保険に関する規制改革の流れの中で、今改めて「比較推奨販売の適正化」の動きが出てきています。
保険代理店を運営されている事業者様の中には、特定の保険会社の代理店として事業活動をされているところもあれば、複数の保険会社の商品を取り扱う、いわゆる乗合代理店として事業活動をされているところもあるかと思います。
乗合代理店の強みの一つとしては、複数の保険会社の商品を同時並行的に分析して、お客様にとって提案できる幅が広がる点が挙げられるものと考えられますが、他方で、保険会社から便宜供与を受けて、その保険会社の商品を特に推奨し、顧客にとって適切な商品選択の判断がゆがめられる懸念も指摘されています。
2024年11月15日に開催された金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」(第4回)においては、事務局(金融庁)から有識者に対して、次のような内容の提案がされています。
乗合代理店における適切な比較推奨販売を確保する観点から、推奨販売を行う場合には、中小規模の乗合代理店における保険募集の実務や募集形態等も踏まえつつ、以下の対応を求めることとしてはどうか。 - 顧客の意向に沿って保険商品を絞り込む。 - 絞り込みに当たっては、顧客が重視する項目を丁寧かつ明確に把握した上で、意向に沿って保険商品を選別し、推奨する。 なお、こうした対応の実効性を確保するため、乗合代理店においては、顧客に対して商品を提案・推奨する基準や理由を社内規則等に定めることや、比較推奨販売の実施状況の適切性を確認・検証し、必要に応じて、改善に取り組むなど、乗合代理店の規模や業務特性に応じた体制を整備することを求めてはどうか。 併せて、顧客に対して、乗合代理店と保険会社との関係を示すような情報(例えば、取り扱う保険商品の範囲や所属保険会社のリスト等)を提供することを求めてはどうか。 |
本記事の執筆時点では、まだ議事録が公開されていないため、この事務局提案に対する、有識者によるコメントの内容は不明ですが、上記の事務局提案に基づいて議論が進められている可能性があることを、予め把握しておいた方が良さそうです。
現在は有識者による議論が行われている段階であり、上記のような規制が行われるかどうかは確定しませんが、議論の方向性を見守っておく必要があります。
弊所では、重要と思われる規制の変更についても定期的にウォッチしていますので、もし気になる法令改正その他のルール変更がありましたら、ぜひお気軽に弊所までお尋ねください。