先日、レバノンにおいて、相次いでポケベルタイプの通信機器が爆発する事件があり、対立国の軍事工作による可能性が指摘されていると報じられました。
この件は人為的なものによる可能性のある事件ですが、国内では、市が貸し出した防災無線が発火した事故が発生し、3年以上入れていた乾電池が液漏れしたことが原因である可能性が指摘されています。
非常用のライトのように、電池が入れっぱなしになりがちなものについては、定期的に電池を交換したり、長期間使わない場合は取り外しておくという注意をしていくべきですね。
ところで、仮に、こういった液漏れによる発火などで被害を受けた場合、法律上はどのように救済が図られるのでしょうか。
法律の世界は、例えば「行政法」「民事法」「刑事法」といった切り分けによる解決へのアプローチがあり得ます。このうち、行政法・刑事法については、私人と国家との関係を定めたルールであり、他方民事法は私人と私人との間を規律するルールです。
民事法の中には、この「私人vs私人」を「消費者vs事業者」の場合にのみ発動するルール(いわゆる「消費者法分野」)や、「親事業者vs下請事業者」を規律するルール(下請法)等、様々なものがあります。
例えば下請法についていえば、親事業者と下請事業者の関係を定めるだけでなく、その関係を定めるルール(例えば契約書面を交付する義務など)が守られていない場合には、国家からペナルティを与える仕組みが採られているように、一つの法律に複数の面からの規律が定められていたり、消費者法が適用される消費者vs事業者の例において、その消費者法でカバーされていない領域は、民事法の中で最も一般的なルールである民法が適用されることになったり、一つの事象において複数のルールが適用され、ときには別の複数のルールが重なって適用を受けることもあります。
先ほどの国内での発火事故の場合は、以前ご紹介したPL法(製造物責任法)が真っ先に思い浮かぶ損害賠償請求の根拠です。
ただ、民法の不法行為に基づく損害賠償請求権として構成して請求することも可能です。裁判の始まりのときにどのような法律構成で行くのかは裁判を起こす側で決定できるというルールに基づくものです。法律構成は、手持ちの証拠やそこからくる見通しに応じて、弁護士が戦略的に組み立てていくことになります。
法律相談では、Webで調べてきて、「こういう証拠がないからこの請求はできないですよね・・・」という相談をされることもあります。しかし、よく検討すれば、他の法的構成であれば見通しがたつ場合もあり得ます。
また、何らかの保険や、行政による補償制度などを用いる等、裁判以外の方策をとる余地があるケースもあり得ます。
法律に関する問題の解決には、様々な視点からの切り口によるアプローチが欠かせません。弊所は、そのような視点をもって、解決に向けたお手伝いをさせていただきますので、まずはご遠慮なくご相談ください。