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健康食品の制度について①

 以前も言及させていただいていた食品による健康被害ですが、引き続き原因究明や今後の対応方法についての検討が進められているようです。
 上記の事例では、「機能性表示食品」とされるサプリメントが健康被害を引き起こした可能性があるとされていますが、この事例を機に、機能性表示食品について始まった議論を紹介します。

 今回は、そもそも「機能性表示食品」とは何かについてご説明します。
 最近ではよく聞くようになった「機能性表示食品」ですが、皆様はどういったイメージをお持ちでしょうか。普通の食品よりも健康に良いもの、というイメージを持つ方が多いのではないかと考えられます。
 機能性表示食品は、食品表示法・食品表示基準といった国のルールに基づき作られた概念で、安全性・機能性に関する一定の科学的根拠に基づき、食品を製造・販売する事業者の責任で、特定の保健の目的が期待できる旨の表示を行う食品というような説明がされています。
 難しい定義ですが、かみ砕くと、安全性の他に、より健康になることに役立つ何らかの機能を持っているということが科学的に説明できるものという説明になります。

 食品について特別な宣伝を行うことができる国の制度としては、他に、「特定保健用食品」(いわゆるトクホ)や「栄養機能食品」といったものがあります。        
 そして、①特定保健用食品、②機能性表示食品、③栄養機能食品の3つを合わせて「保健機能食品」と言われています。
 似たような名前で混乱しそうですが、①②③は、(1)広告や商品パッケージで表示できる内容や、(2)そのような特別な食品であることを説明するために必要となる手続に違いがあります。

 まず(1)広告や商品パッケージで表示できる内容についてみると、①特定保健用食品は、「お腹の調子を整える」、「コレステロールの吸収を抑える」といった、その食品が持つ特定の保健の用途を表示できるとされているところ、特定保健用食品として食品を販売するには、その表示について消費者庁長官の許可を受けなければならないとされています。
 この許可を受けた場合は、「消費者庁許可 特定保健用食品」の文言がついた、皆様にもおなじみかと思われるマークを付けることができます。
 これに対し、②機能性表示食品の表示は、事業者の責任において表示するものですので、「国のお墨付き」というイメージを持つ意味では、特定保健用食品の方が、より消費者への踏み込んだ宣伝力をもつものとなっています。
 ③栄養機能食品は、その食品にビタミンAが含まれる場合に「ビタミンAは、夜間の視力の維持を助ける栄養素です。」と表示するように、製品そのものではなく、製品に含まれている栄養成分の効果を表示できるというものです。
 栄養成分の機能や摂取するうえでの注意事項等が記載され、例えばビタミンAでは「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。」といった内容が記載されますが、トクホのようなマークはありません。
 このように、表示の違いからくる宣伝力を比較すれば、①>②>③という順番になりやすいといえます。

 (2)の手続きという観点からは、(1)における①特定保健用食品>②機能性表示食品>③栄養機能食品、がそのまま表れています。
 すなわち、①は販売には有効性や安全性について国の審査を受け、許可を得なければなりませんが、②は食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を販売前に消費者庁長官に届けることで機能性を表示することができます。③は自己認証制度であり、国の審査や届出は不要、というようになっています。
 事業者によって考え方は異なるとは思われますが、審査に1、2年かかるような特定保健用食品ではなく、よりスピーディに販売できる機能性食品として製品を販売しているところもあるかもしれません。

 さて、冒頭でも触れましたとおり、この②「機能性表示食品」による健康被害ということについては、①②③のいずれでもない単なる食品が健康被害を引き起こすこととは意味が違うという見解があります。
 この点については次回記事にてお話させていただきます。

 損害保険等の観点からも、食中毒等、食品にまつわるトラブルに触れる機会はあるものと考えられます。 その際には、その食品の法的な位置づけなどによって結論が変わる可能性もございますので、気になる点などありましたら、ぜひ一度弊所までご相談ください。

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