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食品による健康被害と賠償

 既にご承知のことかと思いますが、最近、機能性表示食品として届出されていたとある食品が健康被害を引き起こしたとの情報が流れ、それを販売している事業者が自主回収に動いています。因果関係は現状はっきりとはしていないため、今後の展望などはなんとも言えないところですが、今回はこのような事案を題材に、事業者としてどのような対応が求められることになるのか、法律上の請求権という観点を中心にご説明したいと思います。

 こういった事案が生じた場合、当然ではありますが、まずは早急に原因究明を行うことになります。コンプライアンスという観点から、ユーザーや報道機関・官庁に対して適切なタイミングで状況の報告を行い、必要があれば記者会見なども実施していくことになりますが、なによりも責任の所在をはっきりさせることが最優先事項となります。
 調査を続けていった結果、自社の側に責任があるとなれば、被害者の方への賠償を検討しなければなりません。被害者の側から賠償を待ちきれず訴訟を提起されることもあり得ますが、レピュテーションリスク(企業に関するネガティブな評価が広まった結果、企業の信用やブランド価値が低下し損失を被るリスク)の観点から、なるべく訴訟提起前に話し合いで解決できることが望ましいといえます。この場合、裁判所による法的判断を介さないで解決を図ることになることから、法律上、損害賠償責任を負うことになるかどうかの分析は、丁寧に行う必要があります。

 この場合における損害賠償責任を負う法的根拠のうち、代表的なものとしては「製造物責任法に基づく損害賠償責任」というものがあります。
 製造物責任は英訳するとProduct Liabilityとなり、これを踏まえ製造物責任法はPL法と呼ばれています。この法令の考え方を用いた保険のことをPL保険と言いますので、皆様耳なじみの言葉かと思います。

 このPL法は、消費者保護の観点から定めた特別ルールとされています。
 一般的には、何らかの事故が起きたときに、被害者が加害者に対して損害賠償を請求するときには民法という法律を使うのですが、その場合には加害者に過失(注意義務違反)があったことを証明しなければなりません。
 他方でPL法を使う場合、製造物に「欠陥」があったということが証明できれば損害賠償責任を負わせることができ、「欠陥」を生じさせたことにつき過失があったかどうかまでは証明する必要がありません。
 例えば、食品に有害な成分が入っていたため健康被害が生じたというケースでいうと、民法では、有害な成分が入っていたことについて加害者に注意義務違反があることを、被害者の側が証明しなければなりません。他方、PL法では、その食品の中に有害な成分が入っていたという「欠陥」が証明できれば、そのことにつき注意義務違反があるかどうかにかかわりなく、損害賠償責任を負うこととなります。

 個人向けの傷害保険では食中毒のようなものを保険の対象に扱うことはあまりないような話を聞いたことがありますが、加害者となり得る企業の側からすれば、健康被害を引き起こした場合に億を超える賠償金の支払いを命じられるケースもあり得ることから、PL保険というのは重要なものと考えられます。 PL保険の加入を事業者に勧めるにあたり、その下敷きとなるPL法とはどんなものなのか、正確かつ幅広い知識があると営業活動も進めやすくなるのではと考えております。こういった問題につきましても気になる点など出てまいりましたら、ご遠慮なく弊所までご相談ください。

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