前回、法人とは何かについてご説明しましたが、今回はその法人の代表例と言ってもいい、株式会社について、他の法人との違いなどについて解説をいたします。
法人というのは、「法律によって存在が認められた組織」のようなものです。そしてこの法人に該当するものは、先ほど挙げた株式会社の他、「会社」という括りでいっても「合同会社」「合資会社」「合名会社」といったものがあり、他にも「一般社団法人」、「公益社団法人」など、実は色々と存在しています。
一般社団法人については一般社団法人宮崎県損害保険代理業協会、公益法人については公益社団法人みやざき被害者支援センターなどが具体例となります。それ自体が利益追求するわけではない組織は、会社ではなく一般社団法人として設立され、その中でも特に公益性が強いものは公益社団法人として設立されるといったイメージでしょうか。
「会社」の中では、株式会社という類型が多く用いられ、残りは合同会社であり、合資会社・合名会社は実際にはあまり使われていない印象があります。そのため、各種専門家に相談した際には、株式会社か合同会社かのいずれかが話題に上がると考えられます。
さて、前回申し上げたように、法人化を検討するにあたっては、法的な観点以外にも税務的な観点など様々な目線で検討をすべきであり、法人化する場合にどちらが自身に合っているかは各専門家とよく検討するべきなのですが、法的観点から、株式会社と合同会社を比較するとどういう違いがあるでしょうか。
株式会社と合同会社との違いについて、インターネットを検索すると、
①会社の「所有者」と「経営者」とが理論上別なのかどうか(合同会社ではイコールとなる。)。
② 株主総会を開催しなければならないのかどうか(合同会社では開催不要。)。
といった点を挙げるものが多くあります。
(他にも、例えば会社の幹部について「役員」と呼ぶのか「社員」と呼ぶのか等の細かな違いは色々ありますが、ここでは省略します。)。
もっとも、①については、株式会社においても、「所有者」と「経営者」とをイコールにすることに特段の法的制限はありません。実際上もイコールになっている例が多いものと考えられます(特に小規模の場合。「オーナー企業」と呼んだりもします。)。
②についても、小規模な株式会社であれば、株主総会も簡易的にしかやらないということも多いと考えられます。ちなみに、株式を持っているものが会社の代表者一人の場合、わざわざ会議を開かなくてもその人一人で株主総会をいつでも開催できることになります。
このように、株式会社と合同会社とで法的には大きな違いはでないという見方もできるように思われます。
ただ、社会的に見て、株式会社という名称と合同会社という名称だと、やはり株式会社という名称の方がメジャーですので、税務等の他観点からも大きな差がないということでしたら、株式会社とするのがベターだと考えられます。
ここからは、株式会社にフォーカスしてご説明します。
先ほど、合同会社との比較で「所有者」と「経営者」といった言葉を用いました。株式会社は、(法人という「人のような存在」であるのと同時に)ビジネスをするための「箱」のようなもので、その「箱」の持ち主が「所有者」であり、これに対して「経営者」とはその「箱」の中で実際にビジネスを切り盛りする人ということになります。飲食店でオーナーと店長が別の人というお店がありますが、それと同じようなものです。
株式会社では、「所有者」を「株主」といい、「経営者」を「役員(取締役)」という言い方をします。
さて、今回はここまでにさせていただき、次回はより具体的に、「取締役」などのお話をさせていただきます。
弊所では、法人化するにあたりどのような形態が良いのか(株式会社なのかそれ以外なのか)、そして次回ご説明するような役員の体制をどうすべきなのか(法律では「機関設計」と呼んでいます。)、といった法人化するにあたっての具体的な戦略についてもご相談を承っております。法人化を意識し始めましたら、是非お気軽にご相談くださいませ。