前回の記事でも触れましたとおり、Google社が迷惑メール対策の一環として、メールマガジン等をGmail宛に配信しようとしてもブロックするような仕様に変更するとの発表が行われました。
それを回避したい場合に行うべき手続きがいくつか指定されているのですが、その中の一つに「ワンクリック登録解除」という仕組みを盛り込むことが求められています。配信停止に必要な手続きをマウスのワンクリックで完了できるような、配信を止めやすい仕組みを指しているものと考えられ、これについては迷惑メールの配信を止めるという話とは直結しないようにも思われますが、ユーザーにとって、最初は有益でも途中から不要だと感じた場合にはそれは迷惑メールのようなものであるとGoogle社としては考えているということなのでしょう。
ところで、このGoogle社の施策にかかわらず、メルマガを配信する場合には、配信停止ができるようメルマガ中に方法など記載しておかなければならないということを皆様ご存知でしょうか。
「言われてみると確かに、手元に届くメルマガの一番下の方には『配信停止はこちら』みたいな記述があるな」と思い当たる方もいらっしゃるでしょう。
これは、特定商取引法という法律において、通信販売規制の一つとして定められたものになります(同法12条の3)。メルマガの配信がきっかけとなり消費者被害につながり得ることから、基本的に本人の同意がない限りメルマガ配信はできない、という定めとなっています。
「あれ?あの会社のメルマガが届いているけど、予め送ってよいと同意した記憶はないな・・・」という方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、何かに申し込みをする際に、申し込みボタンのすぐ上のあたりに、【利用規約に同意します】【プライバシーポリシーに同意します】のほかに【~のメール配信を希望する】のチェックボックスがあった可能性が極めて高いです。これによって配信の同意を得ているという法律構成になります。
なお、実は、事前同意のないメルマガ配信禁止や配信停止希望を受け付ける義務といったルールは別の法律も存在します。それは、通称「特定電子メール規制法」というもので(正式名称は「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」)、規制内容は同じなのですが、こちらのコンセプトは、「大量のメールマガジンの配信により通信回線がひっ迫することを防ぐ」というものになっています。
同じ規制であることから、ちゃんとルールを守れば自動的に2つの法律を順守していることになるので面倒だと考える必要はないのですが、こういった「一つの物事を違う法律で二重に規制する」といったことは往々にしてあります。むしろ、一つの物事でも色々な角度から様々なルールが適用されるのが当然とさえ言えるでしょう。
さて、メールマガジンの配信に当たっては、こういった法的留意点がありますが、それは逆に、事業者の皆様の提供するサービスの良さをユーザーへ訴求する有効なツールであることを物語っているものと考えます。メルマガを使った宣伝活動を行うにあたっては、上記のような様々な規制に対応する必要がございます。これからメルマガ配信を行おうという方や、既に行っているが上記のような話をあまり意識してこられなかったという方は、是非お気軽にご相談下さいませ。